浜から直接剥き身を集荷しています
当社は期間入札といって、岩手県漁業協同組合連合会を通じて特定の浜を半月単位で落札します。そこから水揚げされるウニの剥き身を半月間引き取る権利を得るわけです。出漁を開口(かいこう)と言って(出漁中止を口止めといいます)、半月間に3~5回程度行われます。期間入札は5月下旬から随時行われ、8月上旬まで繰り返されます。7月下旬頃から乳白色の卵を持つ産卵期に入るので、剥き身集荷は8月前半で終漁なのです。
現在は冷海水にウニを入れて工場に持ち帰り、生ウニ出荷したり塩ウニ加工したりしています。
たかが塩振り、されど塩振り
当社の汐うに(当社では塩うにではなく汐うにと表記しています)は、キタムラサキウニと塩だけの完全無添加製品です。
加工方法は、塩を振り掛けて水分を抜いて固めるだけの単純な製法です。ただ、単純なだけに、その塩加減は長年の経験を必要とします。
昔は塩を多めに振って固めた後、水で余分な塩分を洗い流して調整する製法もあり、剥き身の集荷現場で加工作業をしていた時代はこの製法を行っていたものです。現在は塩にもこだわり、加工場で丁寧な仕事ができるので、減塩仕様で加工しております。ウニは熟度の低い5月、6月の前半は身もしっかりしているので塩は少な目でも固まります。6月後半から熟度が進んで甘味が増しますが、水分量が多くなってくるので塩は気持ち多めにしないと柔い仕上がりになります。産卵期が近づく7月後半は身が大分柔らかくなっているので、通常の塩の量では固まりません。
ウニの甘味を引き出すには一塩で仕上げるのが良いのですが、保存しやすい水分量に調整するにはある程度塩分が必要で、このバランスをとるのに長年の経験と技術が必要なのです。もっとも、塩加減といってもお客様の好みも人それぞれです。減塩志向のお客様が大多数ですが、例えば塩鮭も塩で山漬けしたしょっぱい鮭でなければ物足りない、というお客様がいらっしゃるように、昔ながらの塩分を好まれる方も中にはいらっしゃいます。
この塩加減を、長年の経験値を数値化して誰でも同じ結果が得られるようにできないか検討したことがあります。剥き身の重量に対する塩分重量を一定にする単純な調整法もありますが、粒の大きさ、水分量、熟度、剥き身の並べ具合を判断しながら臨機応変に対応する技術にはやはり劣ります。たかが塩振り、されど塩振りなのです。
当社の塩振りは、社長の私が趣味でやっております。
うに屋のうに味噌
漁協で集荷する分とは別に、組合員は各家庭で自家消費する分の剥き身を残し、生うにを堪能します。そして食べきれなかったウニは、各家庭で保存食に加工します。この保存食のなかに「うに味噌」があります。生ウニに味噌と砂糖を加えて油で炒めるだけのシンプルなメニューです。シンプルなだけに各家庭の味噌の味や分量によって個性の違った「うに味噌」が出来上がります。生ウニ少な目で作っている「うに味噌」を食べ慣れた家庭の方から、生ウニ半分投入の我が家の「うに味噌」を評して、「さすがにうに屋のうに味噌だ」といわれたのが商品名の由来です。元は色を選別する過程で排除したB級原料を何かに利用できないかと苦肉の策で作った商品ですが、今では人気の定番商品となりました。