めかぶのネバネバ成分は何?
春先になると量販店で株のままの生めかぶが出回ります。これをご自分で調理されるときの注意点をひとつ。一般的にはお湯で湯がいて色止めに水で冷やし、食べやすい大きさにカットするという調理工程です。めかぶのネバネバ成分はアルギン酸、フコイダンといった水溶性の食物繊維です。水溶性ですから、文字通り水に溶けます。なのでお湯に長く浸すとネバリ成分がお湯に溶けだすので、緑に変わったら直ぐ引き上げましょう。めかぶが茶色から鮮やかな緑に変わるのは、たんぱく質が熱で変質することで色素が変化することから起こります。その温度は70℃以上とされていますから、湯がく湯温は最低でも75℃以上、理想的には投入直後に湯温が一気に下がった状態でも80℃以上をキープする温度、つまりは沸騰したお湯に投入して丁度いい感じです。色止めで冷やす時も長く水に浸けるとネバリが無くなります。流水をかけ流すのは以ての外です。いずれにしても水との接触は短時間にして下さい。
これらネバネバ成分は免疫力を高め、余分なコレステロールを絡め取って体外に排出することでダイエットの効果が期待でき、糖質の吸収を遅らせることで血糖値の上昇を抑えるなど、健康に役立つ成分です。
良質なめかぶは内湾漁場のものです
わかめの話で触れましたが、潮流の速い漁場のわかめは抵抗を小さくするために細く長く成長します。そして流れに負けないよう細胞を密にして丈夫な葉を形成します。
めかぶも同じで、潮流の速い漁場では株を小さくして抵抗を小さくし、細胞を密にすることで硬くなります。潮流の比較的穏やかな内湾漁場ではその逆で、株を大きくして栄養塩を吸収しようとしますし、細胞もゆったりとした作りになり、柔らかい食感となります。ネバリ成分のアルギン酸、フコイダンは細胞壁の中に存在しますから、密度の高い細胞には少なく、ゆったりした細胞には多く含まれることになります。
その結果、潮流の速い外洋漁場のめかぶは硬くネバリが少ない傾向となり、内湾漁場のめかぶは柔らかくネバリが多いということになります。葉の評価が高い外洋漁場のめかぶは評価が低く、葉の評価の低い内湾漁場のめかぶは評価が高い、と評価は正反対なのです。このため、岩手県産より宮城県産のめかぶが良質とされ、特に志津川湾産(歌津・志津川)、気仙沼湾産、表浜産の評価が高いのです。
湯通し加熱製法を採用しています
当社の採用するめかぶの加熱方法は湯通し加熱製法で、文字通りお湯でボイルする製法です。
他の加熱方法としては、スチーム加熱製法、ジュール加熱製法があり、前者は蒸気で加熱した管のなかをメカブが移動することで熱が伝わる外部加熱製法、後者はメカブに通電することによりメカブそのものを発熱させる内部加熱製法で、両者は水との接触を少なくすることでネバリ成分を逃がさないというのが特徴です。それに対して湯通し加熱製法は、先述したようにお湯の中にネバリ成分が溶けだすのが欠点です。
そしてボイル作業は何より重労働です。では何故湯通し加熱製法を採用しているのかといえば、圧倒的に緑の発色が良いからです。85℃以上のお湯で一気に過熱し、直ぐに冷却することでこの結果が得られるのです。他の2つの加熱製法は長所もありますが、こと緑の発色に関しては湯通し製法に軍配が上がります。熱の伝わり方にムラがあったり、均一成分とはいえ導電率の違いから発熱のばらつきがあるためと言われています。それぞれ一長一短があるのですが、悩んだ結果、当社は色の良さを優先しました。というのも、異なった加熱製法の2種類の製品を当初出荷していたのですが、お客様からのリピートは湯通し加熱製法のものに集約されてしまったからです。というわけで、手間暇かかるのですが、今は湯通し加熱製法のみで製造しております。冷水での冷却過程でネバリ成分が流失するのを避けるために、冷水ではなく電気的に冷却する工法を採用し、きれいな緑色でネバリ成分が多いという良いとこ取り製品に仕上げております。