生産量は震災前の半分以下です
2011年の東日本大震災以前、宮城県漁協・共販入札に上場される鮮かき剥き身の数量は4,000t以上あったのですが、現在は1,600t~1700tに留まっています。鮮かきの養殖漁業者が半数以下に減少したためです。特に宮城県北部地区で激減しました。高齢化が進み、後継者のいない漁業世帯では鮮かき養殖の初期投資の回収が長引くことを嫌い、初期投資が少なく1年で所得が得られる海藻養殖だけにした世帯が多かったのです。
現在、1経営体当たりの鮮かき養殖漁業収入は震災前を超えています。単価が上がったことと、生産期間が長くなったことが要因としてあげられます。では前より収入が良さそうなのでまた牡蠣養殖を始めたいという漁業者が増えるのかというと、そうはいきません。牡蠣剝き処理場を再整備するさい水産庁が補助したのは、その時点で着業意志を示した人数分のみで、新たに着業する人の分のスペース的余裕はありません。これから牡蠣剝き出荷をしようとすれば、自己負担で処理場を整備しなければならず、現実的ではありません。後から牡蠣養殖を始めた人は、殻付きかきの出荷だけということになります。というわけで、宮城県の鮮かき剥き身生産量は、今後も増えそうもありません。
ASC認証海域の生かきです
震災後、それまでの各養殖漁家の占有養殖漁場がリセットされ、漁場の整備が行われました。
それを機に、それまでの密植による品質低下を反省し、養殖ロープの本数を減らし、間隔をあけることでプランクトンや栄養分がいきわたるようにして劇的に品質改善に成功した漁協があります。
宮城県漁協志津川支所戸倉出張所の生産者の皆さんです。これまで2年かかって成長したサイズに1年で成長するようになりました。この環境に負荷をかけない持続可能な養殖水産物であることが評価され、日本で初めて2016年に戸倉出張所のかきがASC(水産養殖管理協議会)国際認証を取得しました。その後2018年に宮城県漁協石巻地区の3支所がASC国際認証を取得し、全体の6割がASC認証取得エリアとなっています。
このASC認証かきをASC認証マークを付けて消費者の皆様にお届けするには、一つ必要な国際認証があります。それがCoC認証です。
鮮かきの流通・加工の過程では、認証牡蠣とそうでない牡蠣が混じってしまう可能性があります。こうした非認証牡蠣の混入を防ぐため、製品がたどってきた経路をトレースできるような仕組みが要求され、この仕組みが確立されていると認められた事業者にCoC認証が与えられます。
弊社は2018年にCoC認証を取得しました。自然環境に配慮した持続可能で良質な牡蠣を、長年の経験で培われた確かな目利きで落札し、皆様にお届けします。